2011年3月の東日本の震災以降ドイツへの移住希望の方の相談を度々受けて来ました。最近はお母さんと子供の親子留学の問い合わせが増えてきています。
・子供に広い視野を持って欲しい
・外国語を習得して欲しい
・アスペルガーや多動症の子供が受け入れられる社会で子育てをしたい
・同一性を求められない社会で個性を伸ばしたい
など理由は様々です。私自身もドイツで子育てをしていてよかったなと思います。また甥っ子はいわゆるアスペルガーですが、その子ひとりのために市から専門の方が学校ではずっと何年も付き添ってくれています。これが日本であればそうはいかずに学校に通うのは難しかったでしょう。
ただ、せっかくドイツまで来ても言語も文化も違う中で順応できない子供もいます。ドイツで生まれ育った子供であっても、現地校が肌に合わず全日制の日本人学校に通う子供もいます。
それ以前に親子で留学すると言えば、自分の親や親類・友達はもちろん配偶者にも反対されたり、世間の風あたりが強いこともあるでしょう。それでもそのようなチャレンジをされる方は最大限応援したいと思います。
目次
滞在にはまずビザが必要
外国に滞在するにはもちろん滞在ビザが必要です。ドイツとしては滞在許可を出すには、十分な収入や仕事があり自立して生活できる、または滞在するに十分な理由があることが大切です。ビザを取得するためには、十分な収入や仕送り、健康保険への加入が必須です。しかし、「子供の留学」だけでは親子でビザを取るには十分な理由になりません。
それではビザ取得の可能性をみていきましょう。
注!ビザ取得条件は変化する
まず最初に、ビザの要件というのはその時々の移民問題や政治的情勢、都市・担当官などによっても変化します。ですので今までどうだったかの事例や、ネット上の誰かの体験が参考になるとは限りません。
以下に示す例も今後変化する可能性があるので、その都度最新情報をチェックすることが大切です、またビザ申請を実際にしてみないと分からないという面もあるので、ビザが確実に取れる保証というのはありません。
また移民の大量流入の影響もあり都市の外国人局は混雑しており、ビザ面接の予約日が数ヶ月先になってしまうということもあります。
実際親子でドイツまで来たはいいが、ビザが取れずに時間が経ち、子供はどこの学校にも行けず、ビザなしで滞在できる3ヶ月の滞在期限が来て帰国せざるを得ないということもあります。
すでにドイツに滞在している場合
駐在等でドイツにすでに滞在しているが夫の帰任が決まり、それでも母と子でドイツに残りたいという場合。子供が現地校やインターナショナルスクールに通っていれば、子供が学校を卒業するまでは子供は学生として、母親は帯同者としてのビザを取得できる可能性があります。この場合仕送り等の収入があることの証明や、配偶者が生活費を保証することを証明する必要があります。
子供が専門教育を受ける場合
子供がバレエ学校に留学するなど専門教育を受ける場合にはその期間に限って親子ともにビザを取得することができます。
先に仕事を見つける
これからドイツにはじめて向かう場合には一番シンプルなのはドイツで勤め先を見つけてしまうことです。勤め先が決まっていて一定以上の給与額(都市によって基準は異なる)があれば比較的容易にビザを取得できます。それまでの職歴で十分でない場合はプログラミングなどの専門スキルや語学を習得しておけばより職を見つけやすくなります。
フリーランスとして収入を得る
フリーランスビザを取得するためには、その分野を専門に学んだことの証明や、経験・実績を示すことが大事です。すでにフリーランスとして自分と子供を養うだけの収入を得ていればビザも取りやすくなります。ただし都市によって条件は異なりますが、ベルリンでは2017年からはドイツ国内のクライアントが2件以上あることが求められます。これは見込みで日本人のクライアントでも構いません。
今はネットを使って仕事ができますから、先に日本でフリーランスとして仕事をはじめて実績を積んでおくことは大事です。しかしやはりスキルがなければ大した仕事はもらえませんから、プログラミングやデザインなどネットでどこでもできる仕事のスキルを身につけておくことはその後をサバイバルしていくにも重要です。
語学・学生準備ビザ
語学ビザ・その後の学生準備ビザを取得することで子供も一緒に滞在することも不可能ではありません。ただしこの場合は1年、長くても2年です。その間に仕事を探したりして延長の可能性を探ることになりますが1年以上滞在できないかもしれないという不安はあります。語学・学生準備ビザを取得する場合は仕送りや十分な貯蓄を証明します。
リタイアメント・ビザ
親子留学でおじいちゃん・おばあちゃんも一緒に滞在したい、または老後にドイツで暮らしたいという方もいらしゃいます。年金生活者でも生活していくのに十分な年金収入を証明することで滞在ビザを取得できているケースはあります。
身寄りのない親の呼び寄せ
外国に生活していても、親の介護で帰国を余儀なくされることもありますが、身寄りのない親であればドイツに呼び寄せてビザを取得することも可能です。高齢者の場合はドイツで健康保険に加入できないことがありますが、その場合でも日本の国保を継続してドイツの滞在ビザを取得しているケースはあります。
ビザ取得可能性を高めるには
就職先がある場合には比較的容易にビザがおりますが、それ以外の場合はその分野で経験のある弁護士に依頼したほうがより確実です。いくつかの業者もあるようですがビザに関してはやはり弁護士資格のある方に依頼するほうが安心です。自分の状況に合わせて渡航前に事前に問い合わせて可能性を確認したほうがいいと思います。
弁護士は紹介可能です。お問い合わせください。
健康保険
健康保険はまずは旅行健康保険には渡航日から加入しておいたほうがいいでしょう。ビザ取得のためには日本の保険ではなく、ドイツの現地の保険に加入します。ドイツの保険は日本の国保のように一本化しておらず、就職かフリーランスか語学学校なのかなどの目的によっても加入すべき保険が異なりますし、一旦加入すると変更が難しいので注意が必要です。
保険についての詳細は以下をご参照ください。