移住やEU内ビジネスに必須のIBANのある銀行口座。EU内の送金手数料は無料なので、EU内のどこかの国のIBANを取得しておけば他の国のクライアントにも使うことができます。またEU外に転居しても住所変更をして無料で保持することができる魅力的な口座が出てきています。
口座開設は厳しくなった、、、が
ところが、シリア問題でのヨーロッパへの大量難民流入、テロの増加などによってマネーロンダリング法が随時改訂され、ドイツでも銀行口座の開設基準が厳しくなってきており、既存の支店銀行でも渡航後すぐに口座が作れないところが増えました。
支店のないネットバンク(Direktbank)の場合は郵便局かまたはビデオチャットで本人確認を行うのですが、なんと日本のパスポートは生誕地の記載がないために拒否されるケースがあります。
法人口座も以前は現地法人を置くことなく開設ができたのですが、現在はそれもできなくなっています。
その中でも、開設可能でしかも既存の銀行よりも優れているEU口座を紹介します。
※ 口座開設の基準や銀行のサービス内容はどんどん変わります。この記事は2017年10月時点の情報です。
目次
銀行の種類
銀行には主に以下の種類があります。
・既存の支店銀行
・支店のないネットバンク
・スマートバンク(銀行との提携によるサービス)
既存の支店銀行
ECB(ヨーロッパ中央銀行)のマイナス金利政策により支店銀行は様々な手数料を取るようになりました。高い!それなのに不便です。ネットやスマフォの利便性を活用できていないし、国をまたいで移動するような生活には対応していません。
はっきり言って支店のある銀行の口座は時代遅れで全く必要ありません。ネットバンキングができれば銀行に行く必要がないし、時間の無駄です。
銀行に騙されるな
銀行窓口は必要ないどころか、行ってはいけません。行けば銀行が儲けるためだけの手数料の高い投資信託を買わされるか、ひとつしかない提携先の高い保険買わされるのがオチです。
ネットバンクはなんだか不安なので支店がある方がいいという人が未だにいますが、それはもう頭を切り替えたほうがいいです。情報収集すれば分かりますが、支店銀行が意味がないどころか、情弱に高い手数料の商品を売りつけるので有害です。自分のお金は自分で守りましょう。
支店銀行 唯一の利点:窓口で即開設可
ということで支店銀行はいらないのですが、唯一の利点は窓口ですぐに開設できること。渡航後どうしてもすぐに銀行口座が欲しいという場合は、住民登録後にパスポートを持って銀行に行けば即開設できます、というかできたんですが、最近はすぐに開設できないところも増えたので、いくつかの金融機関を回る必要があるかも。(以前はドイツ銀行はだいたいOKだったんですが、最近は断られるケースもあり)
ネットバンク
支店のないネットバンクであっても、認可上は支店銀行となんら変わりません。けれども口座維持手数料はかからず、利子も少しましです。ネットバンクは支店がない分維持費が少なくて済みますが、街中に行ってもみかけないために広告宣伝費は必要になります。価格と利便性でユーザーを増やし、そこにスマフォでAIを使った投資アドバイスや保険のオプティマイズを提供して、一部のユーザーがそれを利用すればビジネスになるというフリーミアム的なビジネスモデルです。
ネットバンクは支店がないので本人認証を郵便局やビデオ認証でするシステムになっているのですが、多くのネットバンクで日本のパスポートでは残念ながら開設ができなくなっています。
以下開設可能な銀行を紹介します。
comdirect bank
norisbank
N26.com
Transferwiese
Fidorbank.de
comdirect bank
ドイツ在住なら一番のお勧めは comdirect 。ヨーロッパで一番普及しているgirocardが使えるからです。ただしドイツ語のみです。
■ 利点
・誰でも開設可
・アプリが充実
・girocardでどこでもカード払い可
・投資口座も優れている
・無料マスターカード
・無料のデビット・クレジットカードもあり
■ 不利点
・ドイツ語サービスのみ
詳細はこちら ⇒ comdirect 開設方法 詳細
norisbank
norisbank も無料のネットバンク、
・girocard あり
・photoTANでどこでもオンラインバンキング
・ドイツ銀行で現金入金が無料無制限
現在口座開設で60€キャッシュバックのキャンペーン中。
N26.com
N26銀行 はベルリンのFinTechスタートアップです。ドイツにありながら、電話すると最初から英語で出るので軽い驚き。ベルリンのスタートアップシーンの共通語はもちろん英語。ネット企業は如何に国境をまたぐかが重要ですね。他のネットバンクではドイツ語しかつかえませんが、N26はむしろ英語がメインです。サイトもカードデザインもクール。
■ 利点
・英語でOK:申込み・電話・サイト・アプリいずれも英語とドイツ語あり
・クレジットカードは残高分のみ使えるプリペイド方式なので与信なしでカード取得可
・ヨーロッパの主な国やアメリカで開設可(イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、オランダ、オーストリア、アイルランド、ベルギー、ポルトガル、フィンランド、リトアニア、ラトビア、エストニア、ギリシャ、スロベニア、スロバキア、スイス、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインなど)
・必要書類はパスポート、住民登録がなくても上記の国で郵便が受け取れれば口座が開設が可能なことになっています。スマフォアプリからヴィデオチャットで本人認証をします。
・振込み承認はスマフォアプリで行うので、一度口座を作れば上記の対象国以外のSIMカードを入れていても振込等の操作が可能
・ドイツの大手スーパーで無料で現金引出可
■ マイナス点
・girocardがない:ヨーロッパではクレジットカードが使えない商店も多く、そのような店で使える girocard がないために、キャッシュレスというわけにはいかない。
(2019年12月時点)
N26について詳しくはこちら ↓
トランスファーワイズのボーダレス口座(マルチカレンシー)
TransferWise.com はもともと格安海外送金サービスですが、ボーダーレス口座というマルチカレンシーサービスも開始、ヨーロッパ各国で利用可能です。(日本ではボーダレス口座は利用できません。)
トランスファーワイズはパスポートとヨーロッパでの住所が証明できる書類をアップロードすればなんと30分で口座開設ができます。ビデオチャット認証も必要ありません!デビット・マスターカードもあり。帰国後も保持しておくサブアカウントとしても有効です。
自分自身のIBANは取得できますが、トランスファーワイズ自体は銀行認可はないので各国の提携銀行の口座になります。もちろん通常の口座同様に振込の送受信が可能です。
■ 利点
・30分で口座開設、パスポートと住所証明をアップロードするだけ
・日本語を含む10ヶ国語対応(日本ではボーダーレス口座サービスはまだありません)
・海外送金が格安、日本円と米ドルやユーロ間は手数料0.8%のみで為替手数料はなし。
・無料デビット・マスターカード
無料でトランスファーワイズ口座開設
Revolut − マルチカレンシー口座
Revolut.com ではヨーロッパに住所があればイギリスの口座が取得できます。イギリスの銀行口座も他のヨーロッパと同じIBANというシステムなのでIBAN口座があればヨーロッパ内は無料で振込の送受信ができます。しかもユーザーアカウントをひとつつくれば各国の通貨の口座を持つことができるのです。
REVOLUT.ocm
・ヨーロッパに住所があれば書類のアップロードで開設可
・UKのIBAN口座でヨーロッパ内送金無料
・複数通貨の口座を持てる
・デビット・クレジットカードあり
・クレジットカード内の通貨を為替手数料なしで交換化
・クレカで訪問先の通貨で買い物ができる!
Fidorbank
Fidorbank.de には独自のコミュニティーがやSNS的な機能もあり、その実績により即座に融資を決めるなどの面白い試みをしている銀行です。またこの銀行で口座を持っている者同士であればメールやツイッターでも送金ができ、即着金します。
■ 利点
・ビデオチャットによる本人認証で日本人でも口座開設可
・Bitcoin.de との提携により、Fidorbankの残高でビットコインが即購入できます。(ドイツで安全に低い手数料でビットコインを購入する一番いい方法です。)
■ マイナス点
・残念ながらドイツ語のみ
・girocard がない:クレジットカードの使えない店でのカード払いができない
法人用口座
アマゾンへの出店やヨーロッパでのビジネスに欠かせないヨーロッパの銀行口座。IBANを取得できるEU内の口座であればEU内のビジネスに使用できます。
以前はドイツでも現地法人を設立することなしに、ドイツの法人口座の開設が可能でしたが、マネロン法の強化により現在ではそれもできなくなってしまいました。EUでの法人口座の開設には以下の方法があります。
・現地法人の設立
・エストニア eResidentで法人設立
人を派遣しなくても現地法人を設立することは可能ですが、手続きはそれなりに面倒で通常は現地エージェントを使い費用もそれなりにかかります。
エストニアでは電子住民 eResident を取得することで、EU外に居住の場合でもエストニアの法人設立が英語で用意にまた安くできるようになりました。ただしこの場合でも現地に住所が必要なため、登記用のバーチャル住所の契約は必要です。エストニアの法人税は20%というのも魅力的です。
エストニアのeResidentの公式サイトはこちら↓
※ eResidentはエストニアやEUでの滞在権ではないのでeResidentで実際に居住することはできません。