リバーランド (Liberland、リベルランド) という国を知っていますか?2015年に独立を宣言した東欧の小国で、おそらく国家としてのガバナンスをブロックチェーンで行っている世界最初の国です。ホームページから市民申請ができ、50万人ほどが申請しているようです。電子市民(eResident) と言えばすでにEUの一員であるエストニアを思い起こします。
税金の支払は任意で、その代わり国が成長した際にはその分の恩恵が得られるという仕組みです。Liberland という名前からも想起されるように自由至上主義のリバタリアンの理想を具現化しようとしている実験国家です。
目次
7k㎡のマイクロ国家
2015年4月30日に独立した国で、ハンガリーの南、クロアチアとセルビアの間、ドナウ川の西岸にあるマイクロ国家、たった7k㎡ の国です。といってもなんとモナコの3倍の広さがあります!?
ヨーロッパの小国と言えば以下のような国があります。
バチカン市国 0.44 k㎡
モナコ 2 k㎡
ジブラルタル(英領) 6 k㎡
サンマリノ 61 k㎡
リヒテンシュタイン 160 k㎡
マルタ 316 k㎡
アンドラ 468 k㎡
ですのでリベルランドの 7 k㎡ というのは国としてありえない大きさ、というわけではないようです。
リベルランドはどんな国
オフィシャルサイト liberland.org によれば、
国名:Free Republic of Liberland リバーランド自由共和国
モットー:To live and let live (生き、生かす)
政体:立憲直接民主制
公用語:英語
大統領:Vít Jedlička(ヴィト・イエドリッチュカ)
国家樹立日:2015年4月13日
独立の経緯:クロアチアとセルビアの間ドナウ川西岸のこの7k㎡の土地は、川の流れが変わったのに19世紀の地図が更新されておらず、ユーゴスラビアが崩壊した時にセルビアはドナウ川の右岸の領有を宣言、クロアチアはそれまでの地図に基づいた部分の領有を宣言したことで生まれ、その後24年の間誰も領有していない土地でした。
そこに Vít Jedlička (ヴィト・イエドリッチュカ)さんが旗を立て、2015年4月13日、アメリカ独立宣言のトーマス・ジェファーソンの誕生日に国家の樹立を宣言してリバーランドが誕生しました。その後クロアチアは彼を逮捕したり、その土地に入ることを妨害したりしたのですが、国際法上はそのような土地は最初に所有を宣言した者に権利があるとのこと。
2017年夏時点では地続きのクロアチア側からの入国はできないので、国際水域になっているドナウ川からボートで入国することになります。自由の国リベルランドへの入国はまだ自由というわけではないようです。
独立を宣言して初代のプレジデントになっている ヴィトさんは、ご覧の通り若くてハンサム、1983年9月6日生まれの34才(2017年時点)、チェコの政治家で自由市民党の党首でした。リバタリアンである彼の持つ理想を実現すべくリバーランドの国のモットーは「生き、生かす」で個人の自由、経済の自由が憲法で保証されており、国家や政治がそこに介入することを極限まで制限しています。
彼は初代大統領となっていますが、非中央集権の直接民主政を目指しているので、自分は最初で最後の大統領になるだろうと言っています。
チェコで政治家として国を変えようと頑張って来たが、新しい国をつくるほうがよっぽど早いとのこと。
ちなみにリベルランドの会計は全てサイト上で公表しており、2016年の収入が22万5千ドル(約2500万円)、そのうちの3割以上はビットコインでの収入です。
こちらは英語で 13分の映像 Freedom for Liberland !
リバーランドの市民になるには
公式サイトの「リバーランドの市民になるには」の説明は見出しを含めて7行だけ、というか実質は以下の部分だけです。
WHO IS NEEDED IN LIBERLAND?
Liberland currently needs people who:
・have respect for other people and respect the opinions of others, regardless of their race, ethnicity, orientation, or religion
・have respect for private ownership which is untouchable
・were not punished for past criminal offences
リバーランドが必要な人
・人種・民族・志向・宗教にかかわらず、他の人、他の人の主張を尊重できる人
・触れることのできない個人の所有を尊重する者
・犯罪者としての刑罰を受けていない者
となっています。市民になるには基本情報と10個のごく簡単な質問に答え、履歴書をアップロードするだけで。多数の申し込みがあるので市民申請の受理には時間がかかるようです。
リベルランドが今後国家のあり方として何を提言していくのか、税金が任意で国が成り立つのか、そもそも国家として国際的に認められていくのか、非常に楽しみです。